ドケルバン病あるあると整形外科テスト

意外に多いde quervain(ドケルバン)病
みなさん、ドケルバン病の患者さんを見ることがありますか?
僕は整形外科外来で6年間働いていたましたが、ドケルバン病単独で理学療法のオーダーが出たことはありませんでした。
肩関節周囲炎で介入中の方が、ドケルバン病っぽい痛みを訴えたので、主治医に相談して追加で理学療法のオーダーを出してもらった1件だけでした。
しかし、自費整体では1年間で15症例はドケルバン病のような症状のお客様を施術しています。
気がついていないだけで、ドケルバン病で悩んでいる人は多いです。
今回はドケルバン病のあるある症状と効果判定に用いる整形外科テストを紹介します。
ドケルバン病とは
まずドケルバン病について解説します。
簡単に言うと親指側の腱鞘炎です。
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が伸筋支帯の第1区画を通過する部位で生じる、狭窄性腱鞘炎です。
第1区画ってのはここね。
狭窄性腱鞘炎というのは、腱と腱鞘の間に炎症が起きている状態です。
横から見た図だとこんな感じ。
手関節の橈側に痛みがあると、疑うべき疾患の1つですよね。
手をよく使う方に多発すると言われていて、ホルモンの影響もあり女性に多いとも言われています。
最近、男性も結構増えていきている気がします。
特に男性の左手のドケルバン病がGW以降立て続けに数症例見ました。
自粛期間中に打ちっぱなしならいける!と言って、連日通い詰めて….というエピソードを語る方が多いので、男性は過用が原因の人が多そうですね。
あと、最近見た男性は
頸椎症があって上腕二頭筋の収縮が一時的に低下
▶︎趣味のジム通いは辞めれない
▶︎回外位でのダンベルカールができず、中間位でのダンベルカール
▶︎橈側に短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の過剰な遠心性収縮
と考えられるドケルバン病の方もいらっしゃいました。
回外位でのダンベルカール
中間位でのダンベルカール
どの疾患もそうですが、何故?を考えるのは大事ですよね。
ドケルバン病あるある
僕が現場で見ることが多い、ドケルバン病あるあるは4つあります。
次の項で解説する整形外科テストのような動きって日常生活あまりしませんよね。
①太めの本やファイルを取る時
関節運動として掌側外転です。
事務のお仕事をされている方に多い印象です。
他にも厚さがあるものを取る直前に痛みを訴える方もいます。
②洋服を着る時
関節運動として橈側外転です。
袖を通す時に、親指が引っかかって橈側外転強制させて痛みが生じるパターン。
結構見落としがちですが、問診すると「そうそう!その時も痛い!」となることがあります。
さらに、この服を着る時の痛みを避けるために、親指を丸めると尺側内転となり痛みが場合もあります。
ドケルバン病の方の問診の際に、着衣動作の痛みもないか確認することをオススメします。
③ハンドルを握る時
関節運動としては尺側内転です。
僕のお客様では大阪の人より、県外のお客様が多かったです。
四国や山陰からお越しの方でハンドルを握る時の痛みを訴える方が数名いました。
あとは、消防士の方です。大きな消防車で細い道に行く時は、パワステを切ってハンドル操作するらしく、その際に痛みが出ると言う訴えもありました。(車の仕組みは分かりませんが笑)
④ゴルフクラブを握る時
これは先ほども挙げましたが、コロナの自粛期間以降かなり増えました。
どこにも行けないけど、ゴルフの打ちっぱなしなら行ける!となった男性が多かったのが影響しているのではないかと思います。
また、男性のゴルフの握り込みで痛みのある方は全員左手の痛みだったので、影響は間違いなくあるなと考えてます。
ドケルバン病の効果判定に用いるテスト
①Finkelstein test(フィンケルシュタインテスト)
患側の母指を尺側内転させて橈骨側に疼痛がでるかを確認するテストです。
痛みが出る方が多いので自動運動▶︎他動運動の順でやることをお勧めします。
ただでさえ痛いので、セラピストにいきなりグイッとやられると評価の時点で恐怖心・不信感もたれてしまいますしね。
結構見落としがちなのが、尺屈だったり、肩の挙上による代償です。
前腕を固定して尺屈を制動をするか、ベッドに手を置いて尺屈を制動をする方法をよく用います。
ここで、再現性がないと治療の効果判定ができないですからね。
②Eichhoff test(アイヒホッフテスト)
母指を握り込ませて、手関節を尺屈させ橈骨側に疼痛がでるかを確認するテストです。
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の伸張されて、疼痛が生じます。
これは自動運動で行ってもらうので、効果判定に用いるときはどれくらい握り込めるようになったか?尺屈がどのくらいできるかも評価します。
③WHAT test(手指屈曲母指外転テスト)
岩原ー野末テストと言ったりもするそうです。(これは記事書くにあたり調べていて初めて知りました)
開始肢位が手関節掌屈位、母指伸展・外転位で、母指外転に抵抗をかけます。
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の収縮で疼痛がでるかを確認します。
ドケルバン病あるあるでお伝えしたように、洋服を着る際に橈側外転が強制さえて痛みが出る方も多いです。
開始肢位の母指伸展・外転もまずは自動運動で痛みのない範囲でやっていただくようにしましょう。
僕は効果判定として用いるために掌屈位だけでなく、中間位、背屈位も確認します。
手関節背屈位での母指の自動伸展は麻生テストというらしいです。(これも今回記事書くにあたり調べていて知りました。)
生活で疼痛がでる動作の確認と効果判定に用いるための評価を行っても、そこまで時間がかかるわけではないので、ドケルバン病の方には毎回全てチェックしています。
ドケルバン病あるあるまとめ
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が伸筋支帯の第1区画を通過する部位で生じる、狭窄性腱鞘炎
■あるある①太めの本やファイルを取る時
■あるある②洋服を着る時
■あるある③ハンドルを握る時 ■あるある④ゴルフクラブを握る時
■Finkelstein test(フィンケルシュタインテスト)
■Eichhoff test(アイヒホッフテスト)
■WHAT test(手指屈曲母指外転テスト)
整形外科テストもいろいろありますが、全てを実施するというより何故するか?
原因部位の特定なのか?効果判定のためなのか?を明確にして限りある治療・施術時間を有効に使いましょう!
参考文献
松村将司,適切な判断を導くための整形外科徒手検査法 エビデンスに基づく評価制度と検査のポイント,株式会社メジカルビュー社,2020
高夏正利,de Quervain病,骨・関節・靭帯,19(10),2006
ライタープロフィール
肩 祥平
大阪の回復期・急性期病院で3年、地元石川県のスポーツ整形外科で6年間勤務後、青山筋膜整体理学BODY大阪店の店長として筋膜の施術を中心の自費整体を提供している。
今年大阪に1店舗、地方都市に1店舗の計2店舗出店予定。
自費整体の開業のリアルな部分もお届けしていきます。
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