シンスプリントの病態と評価3選

こんにちは。肩祥平です。
新店舗がオープンして3週間経過しましたが、初月からたくさんのお客様がご来店してくて、感謝しきれません。
慢心せず、お客様ファーストで店舗運営していきます。
今回はランナーに多い疾患の1つのシンスプリント。
コロナでマラソン大会が中止になった時期は、シンスプリントのお客様はガクッと減りましたが、最近はまた増えて(戻って?)きました。
圧痛だけでなく、動作での再現痛を評価することが大切なシンスプリント。
今回は病態と臨床でよく使う評価を解説します!
シンスプリントとは
■疼痛
運動時,運動後に脛骨中1/3〜下1/3の内側縁に疼痛を生じる疾患である。
動作時痛だけでなく、圧痛があるのも特徴。
■有病率
下腿のスポーツ障害で最も多く、ランナーやダンサーに多い。
特に中長距離選手に多いとされていて、最近僕が見た症例は中長距離の陸上選手だけでなく
100mハードル
アイススケート
バレリーナ
などが様々な競技の選手を施術しました。
■類似疾患
シンスプリントの類似疾患としては、下腿コンパートメント症候群や疲労骨折がある。
下腿コンパートメント症候群は、筋区画内の内圧上昇によりしびれや疼痛が出現する疾患である。
コンパートメント症候群は、運動を止めると症状が軽減、消失することが多く、安静時に圧痛がないのが特徴。
シンスプリントと疲労骨折は疼痛部位が似ているが、シンスプリントは圧痛が比較的広範囲(最低でも5cm以上)なのに対して、疲労骨折は2〜3cmに限局される。
圧痛のみで鑑別することは難しく,正確な鑑別には画像診断が必要となる。
疲労骨折をシンスプリントと判断してしまった場合、難渋するだけでなくスポーツ復帰も大きく遅れることがあるため注意が必要です。
自費整体では個々の判別がかなり難しいです。
来店時に経過が長い場合で、病院未受診(接骨院のみ)の場合は、MRIが撮れる病院への受診を進めています。
シンスプリントは脛骨中1/3〜下1/3の内側縁に疼痛を生じる
類似疾患として下腿コンパートメント症候群や疲労骨折
シンスプリントの原因
シンスプリントの発症メカニズムは、①筋腱の牽引損傷によるものと、②脛骨への曲げ(捻じれの)応力が加わるものの2つがあり、後足部のマルアライメントとの関与もある。
■筋腱の牽引損傷
後足部回内タイプでは①筋腱の牽引ストレスが生じやすい。
回内接地に伴う内側縦アーチの低下を防ぐために、後脛骨筋やヒラメ筋が過剰収縮することで骨膜へ牽引が加わり筋・骨膜性の疼痛が生じます。
後脛骨筋の他にも、ヒラメ筋の内側線維は足関節内がえし(回外)作用が強いため、ヒラメ筋の柔軟性の低下があると、足関節外返し(回内)で付着部に大きな牽引力が加わるとも言われてています。
■脛骨への捻じれの応力
後足部回外タイプでは②の脛骨への捻じれ応力が生じやすい。
回外接地によって下腿は外旋します。
大腿部が内旋すると、それに伴い脛骨上部が内旋し、それに伴い脛骨に捻じれ(外捻)のストレスが加わります。
後足部回外タイプのシンスプリントは、捻転ストレスによる限局的な圧痛を認めることが多い印象です。
シンスプリントの原因は2パターンあり①後足部回内による筋腱の牽引ストレス、②後足部回外タイプによる脛骨の捻転ストレス
シンスプリントのステージ分類
ステージ分類を伝えておくと、選手と治療の進捗具体を共有できるのでおすすめです。
■Walsh分類
StageⅠ:運動後にのみ痛み
StageⅡ:運動中に痛みがあるが,パフォーマンスに影響はない
StageⅢ:運動中に痛みがあり,パフォーマンスが低下する
StageⅣ:安静時にも,慢性的な持続する痛み
またFranklynらは下記のように分類している
■Franklyn分類
TypeⅠ:脛骨前内側の疼痛で骨の微細損傷によるもの
TypeⅡ:主として下腿後方筋群の深部筋膜から下腿後内側縁を起始とする筋の疼痛と張り
TypeⅢ:TypeⅠとⅡが組み合わさった,中長距離ランナーに生じるものや骨の未熟や低い骨密度によるもの
臨床ではWalsh分類が使いやすい
シンスプリントの評価3選
シンスプリントの疼痛は圧痛と、動作時痛に分けて評価します。
①圧痛の評価
シンスプリントの圧痛は、回内タイプと回外タイプで異なります。
大雑把にいうと
■回内タイプ 脛骨内側面に広範囲に疼痛
■回外タイプ 脛骨内側面の限局的
▼回内タイプのシンスプリントの疼痛の範囲
▼回外タイプのシンスプリントの疼痛の範囲
圧痛は広めにチェックする
②動作時の評価 Hop test/Soleus test/Gastrocnemius test
片足でのジャンプで疼痛がでるかどうかというHop testというものがあります。
高頻度で痛みを訴えますが、いきなりHop testをやってもらうことは少ないです。
個人的には
両足でのカーフレイズ▶︎片足カーフレイズ▶︎両足ジャンプ▶︎片足ジャンプ
といったように段階的に上げていきます。
施術前ににはどの動作で、何回繰り返すと痛いか?を評価します。
片足カーフレイズも膝関節屈曲位と膝関節伸展位で分けて行う方法もあります。
膝関節屈曲位でのカーフレイズはSoleus test、膝関節伸展位でのカーフレイズGastrocnemius testとも言われます。
Soleus testはシンスプリントに影響すると言われているヒラメ筋の関与を評価します。
研究的には4割程度陽性になると言われていますが、これでけでの判断は危険です。
個人的には原因筋の特定も必要だと思いますが、
両足でのカーフレイズ▶︎片足カーフレイズ▶︎両足ジャンプ▶︎片足ジャンプ
のどの動作が、どのくらい繰り返すと痛いかを明確にすることに重きを置いています。
また、疲労骨折ではSoleus testとGastrocnemius test有意な差はないと言われているので、怪しい場合は病院の受診や主治医への報告は必要だと思います。
整形外科テストとしてはHop test/Soleus test/Gastrocnemius test
どの動作で、何回繰り返すと痛いか?を重要
■後足部の評価(非荷重)
後足部がシンスプリントに影響している可能性は、原因のパートでお話ししました。
後足部のアライメントは下腿の影響も大きく受けるので、下腿の捻転を考慮した後足部のアライメント評価もおすすめです。
①膝蓋骨を正面に向け、下腿の近位脛腓骨を正面に合わせ、患者にそのポジションで止めてもらう。
②つま先の方向を確認する。(左右差があることあり)
③内果と外果を結んだ線と床面との角度を確認する。
④下腿が内捻しているか、外捻しているかを評価する。
■後足部の評価(荷重)
荷重位での後足部の評価にはLeg-Heel-Alignmentを用います。
①足踏みを行い、両足均等に荷重をかける。
②踵骨後面に2等分線を引く(青色)。
③踵骨隆起から近位へ下腿後面に2等分を引く(赤色)。
④青色の線と、赤色の線がなす角度を求める。
僕はi-phoneで後方から写真撮って、お客様と共有しています。
自分の身体のイメージとギャップがある人も多いですからね!
後足部の評価は非荷重位/荷重位で行う
まとめ
シンスプリントは脛骨中1/3〜下1/3の内側縁に疼痛を生じる
類似疾患として下腿コンパートメント症候群や疲労骨折
圧痛は広めにチェックする
整形外科テストとしてはHop test/Soleus test/Gastrocnemius test
後足部の評価は非荷重位/荷重位で行う
参考文献
整形外科リハビリテーション学会:改訂第2版 関節機能解割学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー下肢,株式会社メジカルビュー社,p221-229,2017
深井 厚:下腿のスポーツ障害一病態・評価・治療一,MB Med Reha No.1 82:54-60,2015
万本健生:シンスプリントと腫骨疲労骨折のMRIによる鑑別,MB Orthop. 25(13) : 9-14, 2012.
横江 清司:シンスプリントの病態と整形外科的治療,理学療法 25巻1号,275―278,2008
渡邉 祐之:シンスプリントの理学療法における臨床推論,理学療法 33巻9号,812-820,2026
大西 純二:陸上長距離選手のシンスプリントの臨床的特徴,整スポ会誌 VOL.22 NO.3 293,2002
ライタープロフィール
肩 祥平
大阪の回復期・急性期病院で3年、地元石川県のスポーツ整形外科で6年間勤務後、青山筋膜整体理学BODY大阪店の店長として筋膜の施術を中心の自費整体を提供している。
5月2日に自身がオーナーを務める、青山筋膜整体理学BODY天王寺店をオープン。
自費整体の開業のリアルな部分もお届けしていきます。
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