腱鞘炎・バネ指の治療と筋膜アプローチ

こんにちは。肩祥平です。
GW明けに天王寺に新店舗をオープンすることができました!
おしゃれな内装というよりも
お客様が安心してご来店できるか?(感染対策・プライバシーの配慮)
スタッフが負担なく施術できるか?
を重視して、考えました。
今回は前回の、引き続き腱鞘炎・バネ指の治療・筋膜アプローチについて解説していきます!
バネ指に関しては、筋膜アプローチが有効なことが多いです。
▼筋膜アプローチの1回の施術の効果としてはこんな感じです。
※お客様には動画の撮影・SNS等の投稿の許可を得ています
では治療から始めていきましょー!
腱鞘炎・バネ指の一般的な治療
■ステロイド注射
治療として最も一般的なものは保存療法ではステロイド注射です。
結構多いですよね。注射打ってる人。炎症にはかなり効果的だと思います。
■手術療法
手術療法に関しても、有効性は数多く報告されており、整形外科では働いていてた時の経験でも手術される患者さんは多かったです。
リハに回らず、診察▶︎手術▶︎終了という人が多かった印象です。
■装具療法
次いで有効と考えられているのは装具療法ですが、現場ではほとんど見たことありませんでした。
比較的若い人や妊産婦では局所の安静と消炎治療に多くは反応し、数週~半年ぐらいの経過で治癒~治癒傾向を示し、日常生活動作上支障がなくなる。
と言われているますが、臨床現場ではどうでしょうか?
生活している人が安静ってできますか?片方の手を使わないで、日常生活を送るのって結構難易度高いと思います。
炎症がひどく安静時痛が強い人は、家族の相談がどれくらい得られるか?職場の理解はどれくらい得られるか?をお聞きして、ライフスタイルの一時的な変更を提案することがありますが、なかなか思うようにいかない経験も多かったです。
■病院時代の腱鞘炎・バネ指の施術経験
肩の術後などに腱鞘炎・バネ指を併発し、炎症が強いような症例を病院時代に担当した際は、まずは医師と相談し注射し、炎症を落ち着かせて理学療法を行っていました。
では、どんな理学療法を行っていたかを解説します!
■腱鞘炎・バネ指に対するストレッチング
目的:屈筋腱の仲張性を獲得すること、MP関節およびPIP関節の可動域の改善
他動的にストレッチを行うので、痛みに注意する必要があります。
代償として手関節背屈の代償が多いので、僕のお勧めはお腹に手を置いて、代償の背屈を視覚的に確認できるようにする方法です。
必要に応じて収縮後の弛緩作用を用いることもあります。
■予防としての高挙手での手指の屈曲・伸展
目的:浮腫の軽減・手指の拘縮予防
背臥位で手を心臓より高い位置にあげ、自動で手指に屈曲・伸展を行いおます。
手指屈曲方向はやさしく、伸展方向は重点的に行うのがポイントです。
引っ掛かりある人に無理に屈曲させるのはNGです。
術後、特に肩関節のope後には座ってグーパーではなく、高挙手でのグーパーを指導していました。
■A1プーリーの内腔拡大
目的:A1プーリーの内腔の拡大をはかり、屈筋腱の滑走を円滑にしてsnappingやlockingの軽減を図る
手関節軽度背屈位としMP関節・PIP関節屈曲位、DIP関節伸展位でブロックなどをはさむようにして全力で握るように指示し,屈筋腱を最大収縮させます。
臨床の現場ではクーラーのリモコンがジャストサイズです。iphoneだと少し大きい印象です。
OKパターン
NGパターン
というのも、腱鞘炎・バネ指で施術させていただく方は女性が多いので、iphoneの横幅だと少し大きいです。大柄な男性ならありかと。
MP関節をしっかり屈曲させて行うことがポイントです。
最後のちょっとした引っ掛かりなどこの方法で改善することが多いです。
臨床的にはMP関節の伸展方向のストレッチングとA1プーリーの内腔拡大を図ることが多いです
バネ指の筋膜調整の結果
中指の引っかかりが強く、ほうきを持った後に手を開けないという方。
1回の施術で引っかかりが無いレベルまで改善しました。
■施術前
■施術後
※お客様には動画の撮影・SNS等の投稿の許可を得ています
バネ指に筋膜調整は有効ですが、一回で引っかかりが取り切れることは多くはありません。
先ほどの腱鞘炎・バネ指の治療の項目で解説したMP関節の伸展方向のストレッチングとA1プーリーの内腔拡大を筋膜調整と併用することが個人的には多いです。
バネ指に有効なポイント
経験上有効だった3ポイントを紹介します。
もちろん、これをやれば治る!ってものでは無いので、ご理解ください。
①橈骨神経溝の近位部
手関節より4横指のエリアの正中より橈側を幅広くチェックする
②第一背側骨間筋上
水かきの部分を3方向チェックする
③腕橈骨筋と橈側手根屈筋の間の溝
前腕回外位で肘関節屈曲して腕橈骨筋を触診して、溝を確認してチェックする
先ほども述べたように、筋膜調整だけでなくストレッチング、A1プーリーの内腔拡大を組み合わせることで効果的なことが多いです!
まとめ
腱鞘炎・バネ指の治療にはステロイド注射、手術療法、装具療法がある
保存療法はMP関節のストレッチング、高挙手での手指の屈曲・伸展、A1プーリーの内腔拡大などがある
筋膜調整では橈骨神経溝の近位部、第一背側骨間筋上、腕橈骨筋と橈側手根屈筋の間の溝のポイントが有効であることが多い(100%ではない)
参考文献
岩倉菜穂子:ばね指に対するストレッチ「とくなが法」の治療効果,MB Med Reha No.244:78-82,2020
藤岡岡宏:アスリートの手指の外傷と障害―診断から競技復帰までのアプローチー手指屈筋腱障害,臨床スポーツ医学:Vol.29, No,6(2012-6)
西森美佐子:関節超音波像からみた屈筋腱腱鞘炎(ばね指) の病態的特徴,超音波検査技術vol. 38 No.1(2013)
澤泉卓哉:ばね指(弾揆指)の診断と治療,痛みと臨床vol,6 no.1, 2006
ライタープロフィール
肩 祥平
大阪の回復期・急性期病院で3年、地元石川県のスポーツ整形外科で6年間勤務後、青山筋膜整体理学BODY大阪店の店長として筋膜の施術を中心の自費整体を提供している。
5月2日に自身がオーナーを務める、青山筋膜整体理学BODY天王寺店をオープン。
自費整体の開業のリアルな部分もお届けしていきます。
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